Yコートとは
Yコートとは、イオンプレーティング法を用いたセラミックス皮膜のコーティング処理です。
金型にYコートを施すことで『耐摩耗・耐かじり性、滑り性向上、耐溶着性、耐熱性』が得られ、金型の長寿命化や品質の安定化を実現します。
また、独自の皮膜除去と再コーティング技術により、金型のリユースが可能となり、省資源化やコストダウンに貢献いたします。
金型への皮膜コーティング方法
ユケン工業ならではの皮膜技術
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POINT1
洗浄剤メーカーのノウハウを活かした前処理技術によりPVD膜の密着性が優れる。
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POINT2
低温処理(500℃未満)だから素材の寸法変化及び歪みが小さい。
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POINT3
薬品メーカーとしての技術力を活用し超硬上の皮膜も除去可能。
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POINT4
損傷分析能力の高さと品質保証。
ユケンの特長
洗浄剤メーカーのパイオニアとして培ってきた独自の技術を生かしたコーティング処理を行っています。
洗浄剤メーカーのノウハウを生かした独自の金型洗浄技術
『皮膜が密着良く着くかどうか』は洗浄で決まります。
当社は洗浄剤メーカーのノウハウを生かし、独自の金型洗浄技術を開発しています。
低温処理(500℃)だから素材の寸法変化及び歪みが小さい
TD処理やCVDと同硬度、またはそれ以上の皮膜を低温処理で実現しました。素材の寸法変化および、歪みを小さくすることができます。
※鋼材は520℃以上の焼き戻しが2回以上必要です。
薬品メーカーとしての開発力を生かした独自の除膜技術
化学薬品メーカーとしての技術開発により、PVDに限らずCVD・TD皮膜も薬品による溶解除去を可能にしました。また除膜後の表面荒れを制御することで、使用した金型の再コーティングを可能にしました。
CVD、TD処理の場合(ショットブラスト使用)


除膜により、金型表面が荒れるため、大掛かりなラップが必要になる。
(右図参照:ショットブラストによる除膜後の表面 ×500)
Yコートの場合(溶解除去使用)


除膜後も鏡面を維持できるため、簡易的なラップで対応可能。
(右図参照:溶解による除膜後の表面 SKH51 ×500)
損傷分析能力の高さと、品質保証
豊富な金型分析経験から、損傷金型の『拡大観察』『残存膜厚測定』『断面分析』等を行います。
充実したスタッフ、分析器機による確かな品質と、アフターフォローを行います。
Yコートバリエーション
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タイプN(TiN)
耐摩耗性・耐焼き付けに優れる
- 用途
- 冷間鍛造・プレス
- 膜厚
- 2μm
- 硬度
- 2,200 Hv
- 酸化温度
- 400℃
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タイプR(CrN)
耐溶着性・滑り性・耐熱性に優れる
- 用途
- 冷間鍛造・プレス・温熱間鍛造・ダイカスト
- 膜厚
- 5μm
- 硬度
- 1,800 Hv
- 酸化温度
- 600℃
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タイプTL(TiAlN)
耐摩耗性・耐高熱性に優れる
- 用途
- 冷間鍛造・プレス・ダイカスト
- 膜厚
- 2μm
- 硬度
- 3,400Hv
- 酸化温度
- 800℃
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タイプAⅡ(AI系)
高耐熱性により、耐かじり性に優れる
- 用途
- 冷間鍛造・プレス
- 膜厚
- 3μm
- 硬度
- 3,500 Hv
- 酸化温度
- 1,200℃
処理方法 | PVD | |||
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膜種素材 | タイプN (TiN) |
タイプR (CrN) |
タイプTL (TiAlN) |
タイプAⅡ (AI系) |
鉄系 | ![]() |
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超硬 | ![]() |
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- 除膜可
- 除膜不可
タイプK+Yコート処理
金属素材に硬化処理(タイプK)を施し、その上からYコートを被覆する複合処理です。
『素材硬化+Yコート』の相乗効果により、今までのイオンプレーティング皮膜以上の効果が得られます。
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皮膜断面
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耐摩耗・耐かじり性
Yコートのみ
タイプK+Yコート
母材表層が硬くなることで、異物やバリがくい込み難くなります。
また、くい込みによる母材の変形も小さく済むので、コーディング皮膜も追従しやすく、皮膜のチッピング破壊が低減されます。 -
特長
耐摩耗性・耐かじり性、軟化抵抗、耐疲労性などの向上。寸法変化もYコートのみと同様。
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注意事項
ステンレス、超硬合金等、硬化層が拡散しづらい素材につきましては、十分な効果が得られない場合がございます。
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